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01 様々な専門分野を持つ中小企業診断士たち(佐原啓泰)

「経営者は孤独である。」とよく言われます。

 中小企業の経営においては、重大な決断や最終決定は社長一人の判断に委ねられることが多いことから、このように言われるのではないでしょうか。

 また、人間は誰しも時には弱気になったり、人に悩みを打ち明けるときがあるのではと思います。しかし会社のトップである社長が、社内の人間に悩みや愚痴を打ち明けてばかりもいられないことが、このように言われる理由の一つであると考えられます。

 社長の仕事は「物事を決めること。」であると言えます。その時々の自社にとって最適な決断を下し、実行し、成果に繋げていく必要があります。できるだけ正確な経営判断を下そうと思えば情報量の多寡と経験がその精度を左右します。判断と行動のスピードが求められる今日においては、決断を下す段階になって情報を収集していてはワンテンポ対応が遅れますし、経験をその時点で即座に補うことは非常に困難です。

 そこで社長の経営判断に必要な情報を得たり、社長自身の経営判断を客観的に見直すための有効な手立てが、外部ブレインの活用です。

 中小企業診断士は、経営コンサルタントとして認められた唯一の国家資格であり、私も含めて実際にコンサルティングを事業としている人が数多くいます。ただ、中小企業経営者から「診断士は何をしてくれる仕事かよくわからない。」という声を時々聞かされます。それもそのはず、中小企業診断士にはこれと決まった独占業務があるわけでもなく、それぞれが持つ専門分野を活かして企業の経営コンサルティングを行っているからです。

 そもそも会社の経営課題と一口に言っても、財務管理から営業販売戦略、従業員教育や事業承継対策など多岐に亘ります。したがって、企業側の立場に立てば自社の経営課題解決に相応しい専門人材をその都度見つけて、解決に当ってもらうことが最も効果的な外部ブレインの活用と言えます。

 しかし、簡単に専門人材を見つけられるとも限りません。そこで診断士が企業のためにお役に立てることの一つが、適切な専門家との橋渡し役です。専門家の中には診断士以外の税理士や弁護士など他の士業も含まれます。なぜそうした橋渡し役が担えるかというと、診断士の多くが他の専門家とのネットワークを活かして日頃の仕事を進めているからです。診断士は他の士業と違って独占業務がほとんどないことや、それぞれの専門分野が多岐に亘ることから、お互いが競合関係になることがほとんど有りません。
 むしろ同一企業のコンサルティングを、複数の診断士が連携して行うことが意外に多いのです。そうした協働を通じて構築された診断士同志のネットワークや他の士業や専門家とのネットワークが強みとなります。

 この連載では、中小企業経営者様の良き外部ブレインとして、中小企業診断士をはじめとした外部専門家を上手に活用して経営力向上に役立てるヒントをお伝えして参ります。

(一般社団法人中小企業支援ナビ 中小企業診断士 佐原啓泰)

中部経済新聞 H24.11.6掲載

02 経営の判断に迷ったとき(余合正司)

 経営の判断に迷うときとはどのようなときでしょうか。

 迷ったとき、あなたはどのように解決していますか。家族や先輩経営者に相談していますか、それとも専門書をあたりますか。
経理や税金については税理士に相談していることでしょうし、法律問題ならば弁護士など法律の専門家でしょうか。しかし、実際に中小企業の経営者にお会いしてみると、誰にも相談できていない経営者が意外と多いのです。一人で悩みを抱えずに、一度経営の専門家である中小企業診断士に相談してみませんか。

 中小企業診断士は、中小企業の経営課題に対応するための診断・助言を行う専門家です。法律上の国家資格として、「中小企業支援法」第11条に基づき、経済産業大臣が登録する経営コンサルタントです。他の士業と大きく異なる点として、業務独占規定も名称独占規定もないため、経営者から「何をしてくれるのかわからない」「専門用語で難しいことを言われそうだ」「我々のような小規模企業にはとても払えないような高額な報酬を請求されるのではないか」などの疑念を持たれているのかもしれません。

中規模企業ならまだしも、小規模零細企業は家業的同族経営であることが多く、「家」のことを詮索されると危惧されたり、経営者が自分を恥じて相談が遅れることもあります。また、士業とどう付き合ったらよいかわからないという意見も聞きます。確かに、今、経営が苦しいのは過去の判断や行動の結果が招いているのですから、当人にとってはいやなことでしょう。しかし、伸びる経営者は総じて素直に人の意見に耳を傾けていただけます。人の意見を聞いて自分で判断することが大切なのです。

 経営の判断に迷うのは何も窮境に限ったことではありません。仕入先や商品の選定、価格設定、新商品開発、販売促進、設備投資、従業員の採用・教育、作業改善、中小企業施策の活用など、さらにその詳細を検討すれば、次々に意思決定しなければならない課題が現れてきます。中小企業診断士がこれらすべての課題を解決できるわけではありませんが、経営課題を抽出して優先順位をつけ、適切な専門家につなぐことができます。いわば、かかりつけの医者のような存在です。

 また、時には自分の専門分野で専門医的に接することもありますが、その前に全社的な経営計画の作成を勧めることがよくあります。経営計画は、経営理念やビジョンを基に作成するのですが、経営理念は経営の原理原則となるものです。「迷い」は原理原則を忘れたときに襲ってくると考えられます。中小企業診断士は経営計画の作成支援も得意としています。

 中小企業のかかりつけ医である中小企業診断士にぜひ、気軽に相談してみてください。


(一般社団法人中小企業支援ナビ 中小企業診断士 余合正司)

中部経済新聞 H24.11.13掲載

03 経営計画策定に活用する(梅村薫)

 変化の激しい社会状況を考慮すれば、経営者は何かしら悩みごとや不安を持っていると思います。支援機関の窓口相談をしていて、相談内容の大半は売上低迷や資金確保など、今発生している問題です。相談対応では、問題解決に向けた支援とともに、経営者が悩みや不安を軽減するためにも経営計画の策定を勧めています。

経営計画とは、自社の現状から3〜5年程先の「あるべき姿」を達成するための道筋を示したものです。「あるべき姿」では、業界内でのポジション・評価、組織や従業員の状況・状態などについて経営者の想いを明確にします。経営計画策定のメリットは、〃弍勅圓離咼献腑鵑魘饌療に示すことで、従業員が経営者の考えを共有でき、組織的に目標達成に向け行動しやすくなる、金融機関から融資を受ける際に説明資料として活用できる、L槁犬任△襦屬△襪戮姿」をどのくらい達成しているかを把握しやすくなる、などがあります。

策定プロセスは、〃弍勅圓旅佑┐襦屬△襪戮姿」を明確にする、環境分析をする(自社の強みや弱みを把握、自社を取り巻くチャンスや脅威を知る)、実現に向けて方針を決める、ざ饌療な行動計画および数値目標を設定する、となっています。悩める経営者にとって、経営計画で判断基準を設定することは、計画と実績の差を明確に把握できるため、事業運営を支える従業員とともに柔軟かつ迅速に対策に取り組みやすくなります。また、資金確保の面で大切な協力者である金融機関との関係強化のためにも策定すべきなのです。

策定作業は、経営者を中心とする経営幹部および各部署から選抜した人材でチームを作って進めます。この時、メンバーの通常業務に影響しないような配慮が必要です。ミーティングは事前準備、進行管理が大切になります。また、環境分析は自社の現状を把握する大切な作業です。現状を分析して課題を把握しなければ目標は達成できません。収集した情報は客観的に分析することが重要になります。

これまで経営計画の意義、策定方法等について述べてきました。窓口相談でも同様の話をしていますがその後、うまく進まないと相談を受けます。

私は、経営者や従業員の持つ自社に対する想いと、事業活動を通じての経験や体験を一致させていく過程のなかで経営計画ができあがっていくと考えます。想いが強すぎると経験や体験が活かされない計画となり、経験や体験を重視しすぎると消極的な計画となってしまいます。このような事態を回避するためにも客観的な視点でアドバイスできる専門家を活用すべきです。

そもそも経営計画は策定が目的ではありません。「あるべき姿」の達成に向け、実践することが本来の目的です。計画策定から実践に至るまで専門家を有効活用することは貴社が新たな第一歩を踏み出す良いきっかけになると思います。

(一般社団法人中小企業支援ナビ 中小企業診断士 梅村 薫)

中部経済新聞 H24.11.20掲載

04 販売促進策を効果的にすすめるために(蛯原健治)

販売促進と聞いて皆さんは何を思い浮かべますか?

ホームページですか、営業活動ですか、フェイスブックですか?

販売促進とは、お客様に多くのサービスや商品を購入して頂くための活動です。
今回は販売促進を効果的に進めるための中小企業診断士活用法を考えたいと思います。

販売促進で忘れてはならない事、それはお客さまの視点です。
とかく自社優先の独りよがりな活動をしてしまいます。商品やサービスを購入して頂くのはあくまでお客様であるという事を必ず念頭に置きます。

販売促進を考えるにはまず初めに、「誰に」、と「何を」、を決めます。「誰に」、すなわちお客様は誰かを明確にします。お客様リストを分析し、どんな人が購入しているのか思い浮かべ具体化することです。そして、対象が新規のお客様か、リピート客を決めます。

次に、「何を」。これは自社の商品やサービスが、お客様にどんな価値を提供できるか明確にします。事業の価値は、サービスや商品の販売を通じてお客様が望む状態になることであります。それが他の会社でできない、または他の会社よりお客様が優れていると判断した場合に購入して頂けるからです。この「誰に」何を」は事業の根幹ですが、意外と認識していない企業が多いのです。 

この2点は特に、外部専門家を活用しながら明確にするのが効果的です。

次に、目的と目標と予算を決めます。
目的は、「見込み客を集めるため」や「購入時の決断を促すため」等です。
目標を決めます。例えば、「新規の見込み客を100人集める」「リピート率を10%増やす」等具体的な数値目標を設定します。
予算を設定します。年間の事業計画で設定された予算の内に収まるよう設定します。

 そして、「どのように」を決めます。ホームページ、DM、営業活動、折込チラシ、展示会出展、割引クーポンの発行、社内・外キャンペーン、販売員教育、アフターサービス等を組み合わせて考えます。「誰に」「何を」「目的」「目標」「予算」を明確にする事で、どんな手段を組み合わせて行えば良いのか決まります。 

販売促進を考える際、自社の経営戦略から整理しないと有効で、費用対効果が高い販売促進はできません。
それは、自社のお客様は誰で、どんな価値を提供できるのか明確にすることが必要だからです。よって、企業の根幹から考え直すことも必要になってきます。

これらを行うには、客観的な視点で、事業の根幹からトータルに販売促進を考えることができる中小企業診断士が必要なのではないでしょうか?

また、中小企業診断士は、各種専門家、企業とのネットワークが強みの一つです。例えばどこにホームページを頼んだら良いか分からない場合でも信頼と実績のある専門家、企業をご紹介することが可能です。

販売促進を考える際、一度中小企業診断士等外部ブレーンの活用を考えてみてはどうでしょうか。 

(一般社団法人中小企業支援ナビ 魅力発掘プランナー 中小企業診断士 蛯原健治)

中部経済新聞 H24.11.27掲載

05 金融機関との話し合いや資金調達のアドバイス(平井裕二)

経営者のみなさまが金融機関と話し合いをされる場面とは、どのような場面でしょうか。

たとえば、『借入の申込』、『経営改善計画書の内容説明』、『新たな事業計画の相談』等々、金融機関との話し合いの場面は数多くあります。

そうした話し合いの場面の中でも、特に『借入の申込』をする際、金融機関に対して会社の経営状態を上手く伝えることができずに悩まれている方は多いのではないでしょうか。

本稿では、『一.借入の申込をする際の事前準備の場面』、『二.金融機関との交渉の場面』の二つの場面における注意点について説明します。

『一.借入の申込をする際の事前準備の場面』
 金融機関へ借入の申込をする際、会社の決算内容が黒字決算か赤字決算かで、金融機関の対応も大きく変わります。
よって、赤字決算の会社が借入の申込をする際には、しっかりと事前準備をすることがとても重要です。

事前準備の重要な項目としては、
現状の収益状況の把握
経営改善計画書の作成
の二つが挙げられます。

仝従の収益状況の把握
現状の会社の収益状態を把握するうえで、最も重要な資料が試算表です。
試算表を用いて分析すべき重要な点は、売上高が前年同期と比較して増加したのか減少したのかを確認したうえで、その増減要因等を整理することが重要です。同様に、原材料等の経費についても勘定科目毎の増減とその要因を把握する必要があります。このようにして、試算表の内容を精査し、良化傾向にあるものと悪化傾向にあるものを分けたうえで、悪化傾向にある項目については要因の分析と今後の対応策を立案して下さい。

経営改善計画書の作成
赤字決算の会社が借入の申込をする際、金融機関から経営改善計画書の提出を求められるケースが散見されます。経営改善計画書の作成については自社の経営課題を把握することから始めます。次に、経営課題に対する改善策と改善効果金額を算出したうえで、改善策の優先順位を決定します。優先順位の決め方としては、改善による効果金額が大きく即効性のある改善策を優先します。優先順位を決めた後、その改善策の実施時期を明確にします。


『二.金融機関との交渉の場面』
事前準備はしたものの、金融機関に対して適切な表現でわかりやすく収益状況や経営改善計画書の内容を伝えることは難しいものです。そうした場面での注意点は、収益に影響するプラス要因とマイナス要因をしっかりと説明することです。そうした姿勢で金融機関との交渉に臨めば、交渉がスムーズに進みます。また、外部ブレインを同席させることで話し合いの内容も充実し、相互理解が深まると考えます。

金融機関と良好な信頼関係を築くためには、金融機関への正確な情報提供と金融機関からの改善要求をよく理解し対応することが重要です。金融機関との良好な関係を築き、円滑な資金繰りの確保に努めて下さい。

(一般社団法人中小企業支援ナビ 中小企業診断士 平井 裕二)

中部経済新聞 H24.12.5掲載

06 財務分析や経営上の問題発見のために活用する(寺田久美)

 「あなたの会社の課題は何ですか?」と問われた際に
すぐに課題をあげられる経営者の方はどのくらいでしょうか。

課題が明確な企業も多くありますが、漠然と「売上が下がってきている。」「利益がでない」。といった状況で終わっている企業も多くあります。


 そんなとき、私たち中小企業診断士は決算書を拝見します。その決算書の数字をあらゆる角度から分析し、現在の企業状況を把握し、問題がどこにあるのかを検討するのが「財務分析」です。問題解決において重要なことは何よりも「現状」をきちんと知ることです。現状を知らなければ、課題が何であるか、問題がどこにあるのかはわかりません。その「現状」を客観的に表したものが決算書であり、その決算書から問題の糸口を見つけるための分析が「財務分析」なのです。

 「財務分析」からは様々なことを知ることができます。資金繰りに問題はないか、在庫は多すぎないか、売上原価はどのような状況であるか、設備過多になっていないか。経営上のあらゆることを分析します。では、「現状」を知った後はどのように対応したらよいのでしょうか。在庫過多の場合、その財務分析をもとになぜ在庫過多になっているのかを現在の在庫管理の状況、在庫の詳細状況等を総合的に判断して真の問題、課題を考えていきます。


 財務分析の数値は、あくまでも業務の「結果」です。その業務のどこに問題があるかを客観的数値から探り出し、本質的な問題を発見していくのが私たち中小企業診断士の仕事の一つです。「財務分析の数値が悪い。だから改善しましょうね。」では、真の問題解決はできません。あくまでも業務を改善してはじめて結果としての数値が改善されるのです。

 財務分析を入口として、客観的数値をもとに経営を総合的に判断し、本質的な課題解決へ導く。これが決算書をきちんと読む。ということになるのです。これには経営と数字の両方の知識が必要になります。この両方の知識を兼ね備えているのが中小企業診断士と理解していただけたらと思います。

 中小企業は売上の規模だけが全てではないと思います。小さくても「強い」土台を持った企業であること。これが変化の激しい経営環境の中で生き残るために必要ではないでしょうか。そのために、財務分析をし、そこから真の問題発見へつなげ、経営改善のお手伝いをする私たち中小企業診断士を上手に活用していただけたら、うれしく思います。

(一般社団法人中小企業支援ナビ 中小企業診断士 寺田久美)

中部経済新聞 H24.12.11掲載

07 経営改善や企業再生に活用する(長谷川雅彦)

「このままでは会社の将来が心配だ。」と経営者は常に次の一手を模索しています。
ただ未来が明確に見えていないため、どの方向に経営の舵取りをするべきかがとても不安でなりません。もし進むべき方向を間違えれば深刻な状況に陥り「倒産」「廃業」などということもあり得ます。そこで早い段階から自社の経営状況を正しく理解し次のステージに向けて準備を開始することが必要です。その方法のひとつに中小企業診断士の活用があげられます。

この連載は診断士の上手な活用方法ですので、これまでの実例をもとに、経営改善や企業再生を目指す社長と診断士との関り方をご紹介します。

会社を人にたとえると、健康→風邪気味→病気→重体→死亡など病状が推移しますが、それぞれの場面で専門医(各方面の専門家)が正しい措置を施します。中小企業診断士は会社の健康状態を見極めそれら専門家を適切にコーディネイトする役割を持ちます。まさに経営者を補佐するマネジメントコンシェルジュと言えます。

ここではある印刷会社の事例をもとに診断士活用の事例をお伝えします。その会社は企業むけ印刷物や広告を中心とした会社で愛知県内に三つの事業所を構えていましたが、昨今の景気低迷で現在は本社だけでの活動になり売上は減少し続け3年前からは赤字体質となっていました。
そこで診断士である私は第一の仕事として社長に現状を知らせることから開始しました。財務諸表をはじめ取引先関係、従業員、商品内容、生産技術、などと問診を繰り返し社長に会社の現状を伝えます。次に進むべき方向性の選択肢を提示します。

この会社の場合は大きく2つでした。
低利益商品を同業他社へ回し、高利益専門商品だけに特化した規模縮小プランAと、販売促進サービスを拡充する新事業展開プランBという全く違う選択肢でした。
実はどちらを選択するかにより次にコーディネイトする専門家が全く異なるためです。ところが社長も簡単には決断できず両プランのシミュレーションを続け、3ヶ月後に出した結論がプランAは最後の選択として、まずは拡大路線のプランBに挑戦するという結論です。
マネジメントコンシェルジュである私の役割としてはまず必要な専門家を配置した全体スケジュールを提示しました。また拡大プランBには活動資金の予算確保とデザイン人材も不可欠であり、資金確保に向けた事業計画作成専門家と外部人材確保専門家の協力により「経営改善作戦B」を決行しました。
意外と苦労した点は新サービスの説明ツールの選択でしたがipad専門家の投入で解決。これまでの取引先からの受注が始まり今では売上の4割を新サービスが占めるようになりました。
この事例のようにすべてが上手く行く訳ではないですが、経営戦略と方向性の選択肢を提示し最も適した方向へ導く作業進行役が中小企業診断士の有効的な活用方法といえます。
まず社長さんにはマネジメントコンシェルジュと直接話してみることをお勧めしています。

(一般社団法人中小企業支援ナビ 中小企業診断士 長谷川雅彦)
中部経済新聞 H24.12.18掲載

08 事業承継対策を進めるために活用する(横井圭一)

「事業承継」は業種・業態を問わずどんな企業においても必ず直面する問題です。

普通に考えれば、創業社長の場合は次の後継者へのバトンタッチ時に一回、二代目社長以降は、先代からの受け継ぎと次の世代への引き継ぎと二回経験することになります。企業経営で経験する色々な問題は、問題が発生した時点で対処方法を検討し、経営改善を行います。
一方事業承継においては、必ず将来の何年後には発生する問題で、問題となる前から対策を検討できるものです。
しかし現実には、とくに社歴の浅い企業では、事業承継も他の問題と同様に問題となった時点で検討される場合が多いようです。このような場合は、検討する時間がほとんどなく、後継者は充分な経営者としての準備がなされないまま社長業を引き継ぐことになります。
具体的な例では、現社長に突然不幸が起きた時です。悲しんでいる暇もなく事業承継を行わなければなりません。色々な面で歪みを残したまま経営を引き継ぐことになる場合が多いようです。

事業承継という言葉から事業用資産の承継を思い浮かべる経営者の方も多いと思います。
また、事業承継は当然のことですが、社長の座を後継者に譲り渡すことを意味しています。これが、前もって対策に取り組めない要因かも知れません。資産配分は急ぐ話でもなく、社長交代はご自身が現役から退くことを意味しています。

ほとんどの場合、忙しさと寂しさから検討は先送りされることでしょう。事業承継には、資産承継の他に重要なものとして「経営そのものの承継」があります。これは、経営者の経営に対する想いや価値観、態度、信条と言った経営理念をきっちりと後継者に伝えていくことです。こちらは後継者候補が存在する場合でもある程度の時間と期間を必要とします。
もし後継者候補がいないのであれば、問題解決まで相当の時間が必要となります。資産承継にしても経営の承継にしても検討すべき個別の課題は多くあります。さらに企業ごとに状況が異なっているため実際には問題が複雑化している場合もあります。親族の話し合いとなるとナイーヴな問題に発展することもあります。事業承継対策は早くから取り組め、また取り組んだ方がいいことは判って頂けたとしても実際問題としてどこから検討したらいいのか迷われるかも知れません。

このようなとき効果的な方法として外部ブレインの活用があります。
事業承継対策には複数の専門家を必要とされることが一般的です。経営の承継を得意とする中小企業診断士を初め、弁護士(相続紛争の防止策)、税理士(税務対策)、公認会計士(M&A)といった専門家でチームをつくり事業承継対策を検討することが、円滑な承継を行う上で必要となります。
金融機関、商工会議所、診断協会等を利用し、自社に合った専門家を紹介してもらうのもいいでしょう。五十代になったら、すぐに検討を始められることをお勧めします。

(一般社団法人中小企業支援ナビ 中小企業診断士 横井圭一)

中部経済新聞 H24.12.25掲載

09 後継者の家庭教師として(松本久敏)

「マネジメントの父」とも呼ばれているP・F・ドラッカーは著書「マネジメント」の中で、「企業の目的は、それぞれの企業の外にある。企業は社会の機関であり、その目的は社会にある。企業の目的の定義は一つしかない。それは、顧客を創造することである」と述べています。

つまり、社会や顧客の欲求を創造し続けられなければ、企業は存続することができないということです。一方、好むと好まざるとに係わらず、社会や顧客の欲求は常に変化していきます。従って、企業は存続し続けるために、社会や顧客の変化に積極的に対応する「経営革新」への取り組みが必要なのです。

さらにもう一つ、企業が存続するために重要なテーマがあります。それは、「事業承継」です。中小企業白書(2006年度版)によれば、年間廃業者数約29万社のうち、約7万社は後継者不在を理由とする廃業であると推定されています。現経営者もいつかは後継者へ経営権をバトンタッチしていかなければなりません。しかしながら、後継者を決定しバトンタッチする時点において、後継者が経営者として備えておかなければならない心構えや能力を身に付けているとは限りません。円滑な事業承継のためには、計画的な後継者育成が不可欠なのです。

その後継者の教育手法ですが、一般的には能力開発の三本柱と呼ばれている「OJT」「OFF‐JT」「自己啓発」の三つがあります。OJTは、現経営者が直接指導しながら後継者に経営者として必要な知識・スキルを習得させる方法ですが、私は現経営者と後継者が一緒になって経営革新に取り組むことが大変効果的なOJTになると考えております。
なぜならば、経営革新への取り組みを通じて、「ビジョンを描く→ビジョン達成に向けた経営戦略・戦術を立案する→経営戦略・戦術を実行していくための仕組みを構築する」という経営戦略立案・実行プロセスを経験できるからです。さらに言うならば、この取り組みは、企業存続に必要な二大テーマである「経営革新」と「事業承継」の解決につながっていくものです。

しかし、ヒト・モノ・カネ・情報の経営資源が不足しがちな中小企業にとって、経営戦略を立案・実行していくことは、目線が高く難しいと感じてしまうなど、独力では取り組みが困難な場合もあります。そのようなときには、経営戦略立案支援を得意とする中小企業診断士等外部専門家の活用も一つの有効な手段です。また、その際には、外部専門家を単なる経営戦略立案に係わる支援者としてではなく、「後継者の家庭教師」と位置づけて、後継者教育への発展的活用を検討してみるのもよいでしょう。

中小企業経営者の皆様には、経営革新への取り組みを後継者教育のチャンスと捉え、外部専門家を上手に活用しながら、企業存続に必要な二大テーマの解決へ向けて果敢に挑戦して頂きたいと思います。

(一般社団法人中小企業支援ナビ 中小企業診断士 松本久敏)

中部経済新聞 H25.1.8掲載

10 M&Aに活用する(佐原啓泰)

 M&Aと聞くと、中小企業には敷居が高いとか、どこか遠くのことのように思われる方もいらっしゃるかもしれない。

しかし実際にはそのようなことはない。
なぜなら、私達が手掛けているM&A案件では、売上規模で五千万円程の会社も何社かあり、どこにでもある普通の中小企業である場合も多いからである。

そのような会社がM&Aにより自社を売却しようとするきっかけは、後継者の不在である場合が多い。もし、そのようなお悩みを抱えているのであれば、お気軽に中小企業診断士をはじめとした専門家に相談することをおすすめしたい。専門家に相談したからといってすぐに自社を売却するというわけでもなく、まずはあらゆる承継の手法を検討することになる。専門家と共にあらゆる可能性を検討したうえでの結果としてM&Aによる売却に落ち着くことは、事業承継の方針や後継者を決めあぐねて貴重な時間を浪費するよりも随分と賢明な経営判断ではないだろうか。

どこにでもある普通の中小企業がM&Aを活用する他のケースをご紹介したい。一つ目は、自社の財務内容が良好であり後継者も存在する会社が買い手側になるケースである。こうした会社では、常に良い意味での危機意識を持ち、次の事業展開を積極的に検討している場合が多い。具体的には、現在の本業に追加することで相乗効果を生み出したり、弱みを補完できるような新たな収益事業を模索している場合である。

例えば、冬には現場の業務が多忙を極めるものの、夏には業務が落ち着いてしまって従業員が暇をするような季節変動の激しい事業において、夏の閑散期を埋め合わせできる事業を探す場合である。このような新規事業を自社でゼロから起ち上げることを試みている会社に出会う機会がこれまでに何度かあった。世の中で全く新しい又はまだ数少ない新事業であれば、自社で試行錯誤しながら起ち上げることになろう。しかし既に市場に少なからず存在している事業への進出を目指すのであれば、M&Aでの買取りが効果的な経営判断になる場合も多い。

二つ目は、社長の親族ではない社内の管理者や従業員に会社を引き継がせたい場合である。このような場合に活用できる手法として、MBOやEBOと呼ばれるものがある。自社の経営管理者や従業員を後継者として次期社長に就任させる場合には、後継者が現社長や株主から自社の株式を買い取ることが一般的である。しかし、実際には後継者にそうした株式買い取りのための資金力が十分でない場合が多い。具体的な手法の内容はここでは割愛させて頂くが、この手法がその問題をクリアするための効果的な打ち手となる場合がある。

現経営者や従業員からの信頼があり社内や取引先のことも熟知している社内人材への承継は、周囲の理解も得やすく社風も含めてスムーズに承継できるメリットがある。親族でない社内人材の後継者に株式買い取りの資力が無いという理由だけで、選択肢の一つから外してしまうのは早計である。

これまで紹介してきたとおり、中小企業にマッチした中小企業のためのM&Aの手法がある。こうした
手法をまずは検討からでもはじめていただき、御社の成長策のひとつに取り入れて頂ければと切に願う。


(一般社団法人中小企業支援ナビ 中小企業診断士 佐原啓泰)

中部経済新聞 H25.1.15掲載

11 補助金申請のための計画策定に活用する(成瀬 道朗)

日本の経済環境は、東日本大震災の影響から回復しつつある中、エネルギー問題や原材料の価格高騰等の影響を受け厳しさを増しています。更に、このような景気動向に加え、少子高齢化・人口減少の進展、グローバルな競争の激化など、構造的な対応を迫られる課題を多く抱えています。

このような環境の中、雇用の場の7割を提供するなど中小企業は、日本経済の成長基盤を形成しており、中小企業が経済成長の鍵を握っていると言っても過言ではありません。そこで、中小企業が成長・発展して行くためには、新商品開発・新事業展開といった新市場への進出、IT化による新たなイノベーションへの対応、海外展開によるグローバル化への対応を行う必要があります。

こうした中、国等は、中小企業を支援するため様々な施策を実施しております。具体例として、一時的な資金繰り融資を行う「セーフティネット貸付制度」(日本政策金融公庫)、ものづくり基盤技術の高度化に向けた研究開発に対して支援する「戦略的基盤技術高度化支援事業」(中小企業庁)、海外展開に向けた試作開発や販路開拓を支援する「グローバル技術連携支援事業」(中小企業庁)、新事業創出支援を行う「新連携、地域資源活用、農商工等連携」(各経済産業局)などがあります。こうした施策の内容は、中小企業庁が発行する「中小企業施策利用ガイドブック」で確認することができます。

このような様々な中小企業向け施策を熟知しているのが中小企業診断士です。中小企業診断士は、中小企業が抱える個々の課題に応じた的確な施策紹介と活用アドバイス、事業計画策定支援等を行う、まさにマネジメトコンシェルジュとしての役割を担っております。

 中小企業向けの施策の中で、前述の「戦略的基盤技術高度化支援事業」、「グローバル技術連携支援事業」、「新連携、地域資源活用、農商工等連携」などは、提案書や申請書などを国等へ申請し採択されると、補助金や委託金の交付を受けることができるものがあります。

 具体的には、「戦略的基盤技術高度化支援事業」:研究開発費として委託金額4.500万円以下、「グローバル技術連携支援事業」:海外市場向け試作開発やその販路開拓費として上限2.000万円(三分の二補助)、「新連携、地域資源活用、農商工等連携」:試作品開発、展示会等出展費用として上限3.000万円(三分の二補助)などがあります。

こういった支援を受けるためには、提案書や申請書とったいわゆる事業計画を作成する必要があります。申請する施策によって多少の違いはありますが、事業計画には、概ね、事業概要、新規性(革新的な技術等)、推進体制、市場のニーズ、市場規模、競合品比較、販売戦略、生産計画、資金計画といった内容の記載が必要となります。こういった事業計画の策定から計画達成に向けた経営アドバイスや専門家等のコーディネートによる実践支援は、中小企業診断士が最も得意とする分野になります。中小企業向け施策の内容やその活用、事業計画策等に関しましては、まずは、マネジメントコンシェルジュである中小企業診断士にご相談することをお勧めします。

(一般社団法人中小企業支援ナビ 中小企業診断士 成瀬 道朗)

中部経済新聞 H25.1.22掲載

012 IT活用のために活用する(細谷 宏)

ITは企業の競争力を高める重要な道具です。
特に中小企業はどんどんITを使っていくべきです。
なぜならITは中小企業の強みである意思決定のスピードやフットワークの良さを引き出し、弱みである経営資源の少なさを業務効率化などによって補うことができるからです。

 しかし、中小企業のIT導入は失敗が多いことも事実です。具体的には、売れないネットショップ、使われないグループウェア、見積作成にしか使われない販売管理システム、取引しか入力されず資金繰り・財務分析に活用されない会計ソフト、マスタが入力されず少量多品種に対応できない生産管理システム、迷惑メール配信装置となっているCRMシステムなどです。このような失敗が起きる理由をひとつだけ挙げるとすれば、中小企業にはIT人材が不足しているということになるでしょう。

IT調達の場面においては、”ITベンダー”と呼ばれる会社から提案を受けることによって調達するITを決めます。ITベンダーはいつも魅力的な”道具としてのIT”を提案してくれます。しかし、「ITに詳しくない中小企業」と、「経営に詳しくないITベンダー」の間には大きなギャップがあり、経営にITをどのように活かすかの議論が不足し、結果として失敗してしまうという問題が発生します。企業はITという道具が欲しいのではなくそれがもたらす成果が欲しいはずです。成果を十分に得るには、「経営とIT」のギャップを上手に摺り合わせ、埋めていくことができる人材が必要です。

また、IT運用の場面においては、保守をするためにITスキルが必要である他、業務システムは思いの外入力業務が大変であったり、ホームページはマメな更新が必要であったり、メールマーケティングにおいては適切なコンテンツを考える必要があったり、グループウェアは社員が自ら情報発信する職場風土を作らなくてはならなかったり等、ITスキルが高いだけでは務まらない検討事項が多く発生します。

 こんなときに「ITに詳しい中小企業診断士」の活用をお勧めします。彼らは次のような支援をします。〃弍通榲を達成するための手段を考え、そのうちITで解決できるものに対しては企業に合った最良のIT活用提案をする。現状のITとその利用実態を調査・分析し、最大限に使い切るためのアドバイスをする。4覿箸烹稗圓亡悗垢觝膿靴両霾鵑鬚發燭蕕垢箸箸發法⊆卞發防要なIT人材の育成を行う。

ITはあくまで道具であり、目的ではありません。経営知識のある中小企業診断士は、経営目的を踏み外さない適切なIT活用を行うための力となります。また、経営課題は全てITで解決できるわけではありませんが、そのような場合においても適切な専門家をコーディネートできることも中小企業診断士の特徴と言えます。

(一般社団法人中小企業支援ナビ 中小企業診断士 細谷 宏)

013 内部統制の視点で活用する (小林茂夫)

 
 経営者は経営理念を掲げ事業領域を決定しターゲットを明確にしたうえで経営戦略を立案し、
様々な経営戦術を実行しています。
しかし、経営はそれだけでは十分とは言えません。
経営資源である人、物、金、ノウハウを適切 に 管理し、企業を取り巻く様々なリスクを極小化するための取り組みを継続的に行なう必要があります。その取り組みが内部統制であり、内部統制が有効に機能するための仕組みを作ることが内部統制態勢の構築です。
企業が継続して発展し続けるために内部統制態勢の構築は欠かせません。

内部統制の目的は4つあります。
1番目は「業務の有効性および効率性の向上」です。
無意味な営業活動や非効率な生産活動を行なっていないかなど、業務を見直すことで利益向上と社員のモティベーション向上を図ります。

2番目は「財務報告の信頼性」です。どんぶり勘定や不正確な財務報告では正しい経営判断が出来ないばかりか、取引先や金融機関との信頼関係を損なう恐れもあります。的確な経営判断とステークホルダーとの信頼関係醸成のために財務報告の信頼性は欠かせません。

3番目は「事業活動に関わる法令の遵守」です。社員や関係者に不正や違法行為が発生すれば、許認可の取り消しなどの行政処分や取引先からの商談停止など大きな痛手を負うことになります。風評被害に進展し倒産に至るケースも珍しくありません。

4番目は「資産の保全」です。資産は設備、商品、在庫など目に見える物だけではありません。
「強み」の源泉である優秀な技術者や営業社員などの人的資産や、独自技術・ノウハウといった情報資産など直接目に見えない資産の流出も防止する態勢を構築しなければなりません。それは企業規模に関わらず必要不可欠なものです。内部統制態勢の構築は自社の現状評価から始めます。
「この業務プロセスはどのように有効か(有効性評価)」、「どこにどのような無駄があるのか(効率性評価)」、「どこにどの程度のリスクがあるのか(リスク評価)」、「想定されるリスクに対してどのような統制を効かせているか(統制評価) 」の4つの観点から業務内容と統制活動を記述し、「見える化」したうえで評価します。有効性と効率性を評価することで無駄な業務を無くし、リスクと統制活動を評価することで会社がリスクに晒される危険を低減します。内部統制の守備範囲は広く専門的知識も必要です。また、評価には第三者の客観的な視点も必要です。

経営の専門家として各分野に様々なネットワークを持つ中小企業診断士を活用して
「経営の見える化」に取り組んでみませんか。今まで見えなかった問題点が見えてくるはずです。
適切な内部統制態勢を構築したうえで積極的に開示し、「経営の見せる化」に取り組むことで、顧客やステークホルダーからの信頼が高まり、新たなビジネスチャンスが生まれることでしょう。 

*ステークホルダー=株主、社員、取引先など企業を取り巻く利害関係者。

014 組織体制や人事政策のために活用する(鳥巣智嗣)

企業にとって経営資源は有限です。
その限られた資源を有効配分し、より少ないインプットでより多くのアウトプットを得ようと、全ての企業が日々努力をしています。企業間競争が激化している現在、ヒト・モノ・カネ・情報ノウハウの中でも、使えば消耗するモノ・カネ以上に、使えば成長するヒト、使えば蓄積する情報ノウハウに対する重要性が高まっていると言えます。情報ノウハウについても扱うのはヒトであることを考えると、いかにヒトの能力を最大限に活用するか、が重要なのではないでしょうか。

しかし、ヒトを有効に使うための組織形態や人事政策について、中小企業の経営者の方がノウハウを保有していることは、ほとんど無いでしょう。経営者の大半の方が、どんな組織形態にしたら良いか、評価や人材育成の仕組みはどうするべきか、などを悩まれていると思います。そんな時に中小企業診断士を活用して欲しいのです。

では、なぜ中小企業診断士が適任なのでしょうか?それは『中小企業診断士は全体最適な提案が出来るから』なのです。有限の資源であるヒトの能力を効率的に発揮させるためには、会社の規模、理念、成長戦略や競争戦略、企業文化などに適合した組織形態や人事政策が必要なのです。

例えば組織形態において、その戦略目標を達成するためには、ライン組織が有効なのか、それともプロジェクト組織なのか、などの検討が必要です。企業が製品開発を考えるとき、製造部や販売部などと横並びに開発部を設置するべきか、それとも関連部署のキーマンを集めてプロジェクト体制をつくるべきか、などについて悩むと思います。その意思決定は企業理念や成長戦略、競争戦略により左右されるのです。

人事政策についても、企業理念を浸透させるのに適した人事ポリシーを選択することや、評価基準を設定することが求められます。例えば年功序列制を導入した場合、若い人の意欲が上がらない傾向にあり、自律性が下がる可能性があります。実力主義にした場合は、自律性は高まりますが社員が結果のみを求めるあまり、短期的な思考に陥りやすくなります。当然のことながら、社員数五名程度の企業で人事ポリシーなどを議論すること自体、必要性がありません。経営者が社員全員の動きに目が届き指導出来るからです。このように、人事政策も企業が置かれている環境や方向性を無視して決めることは出来ません。

これらの経営課題に対して全体最適な選択を行うには、経営全般に広く知識を持つことが必要です。経営戦略、マーケティング、生産・販売管理、財務分析などの広い分野に広く浅く知識を持つゼネラリストであり、なおかつ自分自身の専門分野に深く精通するスペシャリストである中小企業診断士だからこそ、全体最適な助言が可能なのです。
組織体制や人事政策に少しでも悩みを抱えていらっしゃるなら、ぜひお気軽に中小企業診断士に相談してみて下さい。

(一般社団法人中小企業支援ナビ 中小企業診断士 鳥巣智嗣)

015 従業員教育や社内セミナーに活用する (森竜也)

 ビジネスの環境が激変する中、企業が競争力を高め、持続していくためには、企業の将来を任すことのできる人材を育成することが必ず必要です。

事業を進めるために人材は必要不可欠ですが、ただ手を集めればよいというわけではなく、会社にとって必要な能力を有している人材を集める、あるいは社員に必要に足る能力を身に付けさせなければならないからです。しかし、高い能力を有した人材を探そうとしても、なかなか見つからないというのが実際感じているところではないでしょうか。このような希少な人材は、ただ待っていても集まるはずはなく、放っておいて勝手に育つというものでもないのです。社員各々の能力を向上させたり、モチベーションを上げたりするためには、従業員教育や訓練が重要となります。

従業員教育には大きく分けて、社内での教育(OJT)と社外での教育(OFFJT)の2つがあります。OJTは、実際の仕事の中で上司が部下に指導するという形で進めていくため、実践的な能力が身に付くとともに部下上司間のコミュニケーションが活発になり、理解できていないところのフォローアップをきめ細かく行うことができます。しかし、指導する上司の意欲や能力によって成果にばらつきがあったり、視野の狭い偏ったものになったり、日常業務を優先するあまり教育が後回しになったりする弊害もあります。一方、OFFJTは、講師等教育のプロフェッショナルが体系的なプログラム・理論的なメニューに基づき、効率よく指導してくれるため、専門的な知識を学ぶことができます。しかし、研修内容が抽象的で実際の業務に応用できない場合があったり、時間が経つと忘れてしまったり、そもそも研修期間内は職場を離れなければならないため行かせにくいといった弊害があります。

人材育成の必要性を感じた時は、一度中小企業診断士に相談されることをお勧めします。通常のコンサルタント会社でも体系的かつ理論的な研修を行うことができますが、概ねそれはパッケージ化されていて、決まった研修内容になることが多く見受けられます。
一方、中小企業診断士は、経営者の要望や意向を汲み取って個別にメニューを考えることはもちろん、会社の実態に応じて最適な教育をプランニングすることができます。従業員教育と言っても、新入社員教育や管理職教育のような階層別研修から、マナー研修や5S研修のような目的別研修まで、多岐にわたります。経営者自身が従業員にどのような教育が必要であるのか考えることも必要ですが、まずは客観的な目でどのような教育プランが最も実践的で効果があるのか助言を求めるのが一番です。
そして、中小企業診断士は診断士同士のネットワークに加えて他の士業ネットワークも広く構築していますので、自ら研修を行うだけでなく、企業側の立場に立った課題解決に相応しい専門人材を研修指導者として紹介することができるのです。
 
(一般社団法人中小企業支援ナビ 中小企業診断士 森 竜也)

16 まとめ (高橋康友)

経営者は、経営環境の変化、すなわち変化する市場や顧客の要求を捉え、それに対応できる会社にしていくことが求められます。そのために、重大な経営判断を行わなければならない時もあります。そして、様々な経営課題の解決もしていかなくてはなりません。

中小企業白書2012年版によると、中小企業経営者の7割近くが経営相談を行っていないという調査結果が出ております。一方、経営相談有無の直近5年間の利益の傾向では、経営相談をしている企業の方が、相談を行っていない企業の方よりも利益は増加傾向となっております。今後の中小企業が置かれていくだろう状況を考えますと、身近に良き相談相手を持つことの必要性を認識させられます。
経営課題を解決していくステップは、「〔簑蠅糧見」→「課題の設定」→「2魴荳の立案」→「げ魴荳の実行」となります。そして、それぞれのステップにおいて、外部専門家を活用することで成果を確実に、さらに大きく上げることが可能となります。

まず「〔簑蠅糧見」ですが、課題解決には何よりも「現状」をきちんと知ることが重要です。顕在化している問題だけでなく、潜在的な問題も把握しなければなりません。その際、企業の持つ強みや弱みといった内容の把握が大切ですが、財務分析のような手法を使って真の問題点を探り出していくことも可能です。現状分析の手法には様々なものがありますので、経営と数字の両方の知識を兼ね備えた外部専門家を活用することをお勧めします。

次に「課題の設定」ですが、把握した問題点を解決するための方向性を決めることになります。唯一の答えがあるわけではない事業経営において、方向性を決めるのは一筋縄ではいかないでしょう。そのような時、中小企業診断士のような外部専門家は、課題を整理したり、課題認識を社内共有させたり、選択肢を提示したりしてくれます。

そして「2魴荳の立案」ですが、解決のための実行策を計画に落とし込むことが必要です。今回の連載においても経営計画策定の重要性をお伝えいたしましたが、自社の目指す将来の姿を経営計画に明文化することが求められます。その計画策定のプロセスにおいて、外部専門家のアドバイスが頭の中のモヤモヤを解消してくれたりします。

最後の「げ魴荳の実行」ですが、経営者や会社自身で解決に取り組むべき内容もあれば、専門家の活用が必要な内容もあります。その様な時、中小企業診断士は、経営のコンシェルジュのような役割を果たしてくれます。それぞれ異なる専門分野を持つ中小企業診断士や、他士業などの専門家とのネットワークを活かして、適切な専門家による課題解決に導くことができます。

今回の連載では、中小企業経営者様の良き外部ブレインとして、中小企業診断士をはじめとした外部専門家の様々な局面での活用方法をお伝えして参りました。外部専門家は、中小企業のかかりつけ医であり、専門医であり、コンシェルジュでもあります。今回の連載が、御社の経営力向上に役立てるヒントとなれば嬉しい限りです。

(一般社団法人中小企業支援ナビ 中小企業診断士 高橋康友)

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